各個撃破の典型だ

 各個撃破の典型だ、こちらが兵力を引き付けている間に、弱いところから削り落としていくわけだ。一旦気落ちした軍は復帰するのに時間が掛かる、混ぜて使うわけにも行かずに休養を与えた後に再編成が常。

このまま引き返すわけにもいかんだろう。

 

 蔡将軍にも事情がある、どうしても撤退しなければならない理由が。どちらにとって運が良かったかは解らないが「将軍が負傷された! ここは一旦退くぞ!」という声が聞こえてくる。李項らの騎兵隊は許都への道を閉ざさずに開けて半包囲攻撃をしていた、その隙間を通る形で魏軍は逃げて行ってしまった。

 

 李項も上手に戦うようになったものだ、正々堂々とか言い張るやつにしてみたら何とも言い難い勝利だろうがな。次に向かうのは『王』か、千人を指揮するならばうまいと石苞が言っていたが、相手が騎兵隊では規模の面でどうにもできまい。つまるところ得手不得手を考え相対することができる、これまた機動力の強みだな。

 

 城壁を必死に守っている間に、嬰幼兒課程 城を向いている軍団の背を切りつける。挟み撃ちにされているので動揺が走る、退路を遮断されると恐怖心が増大するものだ。しかし、郭淮軍は後方の守りも強固だ。

 

 向かって左端の一団、郭淮将軍の軍団は非常に落ち着いている。城壁に登ろうとしている歩兵隊、それを支援する弓兵隊、本陣にその後方を守る長矛部隊。しっかりと木柵を設置しているのも見逃せない。そこに設置出来たってことは、ある程度の資材を抱えて来たってことだからな。侮れない、やはり名将は相応の能力を持っている。◇

 

 三度夜を越えた。寓州城はまだ保てている、騎兵隊も城の防衛につくようになってしまってはいるが、目の前に敵がいる以上は不満はあってもきっちりと戦った。馬金大王はどこかで略奪を繰り返しているらしい、自由に動いているということは、魏でも首都の防衛を最優先している証拠だ。

 

 太守が何とかしようにも、防衛用の兵力しか残されていないんだろう。

 

「ご領主様、城の南東方面をご覧ください!」

 

 陸司馬が側近の耳打ちで声を上げる、共に望楼から外を見た。目を細めて遠くをじっと見詰める、そこには茶色の旗を指している騎兵団が、魏の騎兵に追われている姿が映った。十の味方が百の敵に追われているな!

 

「あれはどこの伝令だ」

 

「恐らくは呂将軍で御座いましょう。その所在が不明なので寓州城へきたのでは?」

 

 そうだな、どこかへ消えて行ったからな、遊んでいるわけではないはずだ。どこへ派遣していた兵かは知らんが、何かを抱えている可能性はあるぞ。

 

「陸司馬、速やかに救援に出ろ!」

 

「御意、私が出ます。親衛隊に呼集を掛けろ、軽騎兵を二百だ!」

 

 短弓を装備して、胸甲をつけただけの偵察騎兵を選択した。本格的な交戦ではなく、支援だということを理解しているということだ。裏手に当たる南門の内側に兵を集めると、不意に城門を開け放つ。遠巻きに包囲をしていた魏兵が姿を見て慌てて武器を構える。 南の城壁の上に行き「太鼓を鳴らせ!」腕組をしながらそう命じる。ドドドン、ドドドンと出撃の合図が響く。紡錘陣形を組むと追撃を受けている伝令兵の姿を目指して、二百の親衛騎兵が飛び出していく。

 

 波打つ丘を斜めに横切り、歩兵を蹴散らすとあっさりと包囲の外へと行ってしまう。

 

「重装歩兵を南門へ移動させろ。弩兵の半数も抽出して南門へ応援させるんだ。休息中の兵に待機を命令、仲間の救援の為に一時的に警戒を強める為と説明しておけ」


Debsy King

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